心に浮かび、かつ消えゆくよしなしごとが、永遠に消えてしまわないように、そこはかとなく書きつけてみようと思います。

2010年12月18日土曜日

優れた人は優しい人

昨日、今年度最後の薬理学の講義がありました。うちの大学を卒業し、薬理学の研究室に入り、教授の退官とともに教授選に出馬。が、破れて大学を後にする事になった先生・・・ずっと地元に貢献してきた先生が、若すぎるという理由で(もちろんそれだけではないでしょうけど)地元を去る事になるのはとても寂しいなと思います。

その先生が僕たちに最後に残してくれた言葉がとても印象的だったので、ここに書き残しておきます。


私は「優」といふ字を考へます。これは優れるといふ字で、 優良可なんていふし、優勝なんていふけど、でも、もう一つ 読み方があるでせう?優しいとも読みます。 さうして、この字をよく見ると、人偏に、憂ふると書いてゐます。 人を憂へる、人の淋しさ、侘しさ、つらさに敏感な事、これが優しさであり、また人間として一番優れてゐる事ぢやないかしら。


太宰治が小説の中で述べている言葉だそうです。

漢字の成り立ちからも、太古の昔から、人に共感できる事が「優しい」ということであり、美徳として考えられていたことが分かる、なるほど、その通りだなぁ、と今更ながら思いました。

別の講義で、沖縄中部病院の院長をかつてつとめられた先生もおっしゃっていましたが、医者は人間が好きでないとできない。人間が好きな人は、きっと太宰治の言う「優しい人」なのだろう、と思い、周りをみまわし、自分自身を振り返り、色々と考えさせられてしまいました。何を考えたのかについては、また別の機会に・・・

ただ、本当の意味で「優しい」人に自分もなりたいと心から思います。同じ日本人だけでなく、文化も生活環境も全く違う途上国の人たちの日常に思いをはせ、ともに憂い、ともに喜べる「優しい」人に。