シンプルだけど、でも説得力があった。結局そういうことでいいんだと思った。
ペシャワール会を通して、30年近くアフガニスタンにて地元に根差した活動を続けている中村哲先生。国際保健医療学会で彼の講演を聴く機会に恵まれた。
最初は医療活動から始めた。先進国型のセオリーにのっとり「1つの疾患に焦点を当てた」アプローチ。でもそれではうまくいかない…。当然、途上国の現場には複数の疾患が混在し、相互に影響し合っている。
そこで本当に地元に役立つ活動は何なのか考え、悩み、現地の状況にあった医療サービスの提供を心掛けた。
そんな中で気づいてきた事実。それは医療以前の問題があるということ。まず食べる食物がない、そして飲む水もない。食い繋ぐくとができれば、病気の大半は予防ができるはずだ。
こうして始めたのが用水路事業。いつしか聴診器の握り方も忘れ、重機の扱いにたけるようになった。「持続可能な」用水路を造るために、日本に古くからある手法を勉強した。
用水路が通った半砂漠地帯には、田畑ができ、作物が実るようになった。難民たちはこの地へ帰還し、マドラサ(イスラムの学校)、モスク(イスラムの教会)の建設にも取り組み、コミュニティーの再生に尽力した。
そうこうしているうちに早20数年。メディアにも取り上げられる有名人になった中村哲先生。
この先生の活動の原動力は何だったのか。ペシャワールの会報には、道楽と思ってやっている、とそう書いてあった。
これに対して、フロアから質問があがった。先生の力の源は一体何なんですか!?
中村先生曰く「昔はこういうことって説明しなくてもよかったと思うんです。人として放っておけない、ただその気持ちで活動してきました。九州男児の心意気ってやつですよね。でも今は説明の言葉がいるのかな…」
-現地の人たちの生きようとするエネルギー
-それに共鳴した日本人の善意による寄付
-そして哲先生の言う九州男児の心意気
こうしたものが合わさり、相乗効果を生み出し、アフガニスタンの地での活動につながったのだと。
なぜだろう、このシンプルさに胸を鷲づかみされました。
我々一人ひとりに何ができるのか。何かしたいけど、どうしたらいいのか考えてはいるけど、なんとなく忘れていく。
そんな中でも縁を大事にしつつ、自分に関わりのあることから始めて行く。そして活動を続けるということ。そうしたことで、哲先生がされているような活動につながり、それが広がり、広く世界にインパクトを与えられるようになるのだろう。なってほしい。
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