心に浮かび、かつ消えゆくよしなしごとが、永遠に消えてしまわないように、そこはかとなく書きつけてみようと思います。

2010年9月27日月曜日

それぞれの描く" きせき "

来週末から始まるラグビーシーズンに備えて、今日は久々に夜の街のジョギングにでかけました。

走っているとシナプスが興奮するせいか、普段は考えもしないような物事が頭を巡り、しばし思考に没頭してしまうことがあります。これもジョギングの魅力の一つでしょうか。

アリストテレスだったか、古代ギリシアのある有名な哲学者は散歩しながら学問について思索にふけっていたといいますが、ちょうどそんな感じなのかもしれません。

今回、巡った思いが宮崎の夜闇に紛れてしまわないように、ここに書き留めておこうと思います。といってもあの瞬間の気持ちの昂りをどれだけ再現できるかなあ。

この夏、僕の友人の一人が、僕が初めて訪れた途上国であるウガンダに1カ月ほど滞在していました。そして、僕が持ち帰ったのとおそらく同じ「質問」を抱えて帰ってきました。(正確には今、日本に向かう旅客機の中かな?)

それは、こんな質問です。

"What would you bring from Japan?"

僕もかつてウガンダに滞在していた半年弱という期間の間に何度となくこの質問をされました。

"What have you brought for us?"
"What would you send us from Japan?"
"You are from Japan! You must be rich enough to help us. Give us something for rememberance..."

こうした質問に対して、1回1回悩み、自分なりの解答を返していました。でも、例えば、"I am just a student... I am not so rich. といってみてもその言葉は彼らの尺度から見たらウソになってしまう。

だって、僕の同僚の優秀な看護師が1年かかっても日本に行く航空券は買えない。それを僕は1カ月のバイトで稼げてしまう。こんな経済格差は歴然と存在しているんだから。

かといって僕は彼らに何を残してあげることができるんだろう…

付き合っていく中で、彼らがそうした質問をすることで、本気で何かを求めているわけではなく、ある意味コミュニケーションの一環なのだというのも感じ始めました。何かもらえたらめっけものかな、くらいの。

でも一方で、自ら国という枠を越えて、彼らの生活に踏み込み、自分という先進国の人間を彼らにとって「リアルな」存在として認識させてしまった。つまり、自分は、ウガンダの北部スーダンとの国境もほど近いモヨに住む一部の人とは人と人との関係を心のつながりをある意味で「築いてしまった」。

こうしたモヤモヤした気持ちは帰国した後も、ずっと僕の心を占めていました。彼らの生活は今でも僕にとってはリアルで、目を閉じて思いを遠く西の大陸に馳せれば、彼らの笑顔が、活気溢れる生活の場面が、そして、その陰に潜む絶望や涙、貧困が甦ってきます。

どうしたらいいんだろう。どうしたらいいんだろう、一体。悩んでは行動し、行動しては、悩み、時に立ち止まり、二の足を踏み、そして自分なりに出した結論、それが、「医師になる」ということでした。

今度、腰を落ち着けてウガンダに戻った時、礼の質問に僕はきっとこう答えます。

"What have you brough for us my friend?"

"I've been thinking about it all this time, and what do you think I have brought for you all. I have brought for you a doctor, with the will to live with you and understand you. Listen to you and do what he can do for you. Well it is myself in short."

医師を目指して、医学部に入り、国際保健医療を志す友人と話していると、多くの人のベクトルの向きは僕とは真逆。初めは緊急支援なんかに憧れて、途上国に現場で医療を提供したいっていう熱い気持ちで医学部に入っている人がとっても多い。でも実際に活躍されているいろんな人の話を聞くうちに、自分で現場を見るうちに、もっと多くに人が救えるように、根本が解決できるように。そう考えて、医療行政、国際保健分野でのマネージメントやWHO、UNICEFなどのコーディネータの仕事に憧れを持ち始めます。

それは、すごく意義があるし素敵なことだと思います(色んなジレンマを抱えることにはなるだろうけど)。ただ自分は結局多分アフリカに、ウガンダに、モヨに戻りたいだけなんです。戻って恩返しをしたい。まずはそこから始めたい。それより先のことはちょっと分からない。なにより、皆が同じことをやっていたら世の中はなかなか良くならない。国際協力へのアプローチはボトムアップとトップダウンが両方存在していなくてはならない。分野もいろんな分野の人が、同じ夢を描いて、それぞれに協力し合いながら、時には競い合いながら、問題に立ち向かわなければならない。

それぞれが描くキャリアパス。将来への軌跡はけっして直線であることはなく、なめらかな曲線でもない。まっすぐ行くかと思いきや急に鋭角のカーブをし、壁に突き当たって弧を描いてそれを乗り越える。

様々な分野に進んでいった友人がこうして、それぞれの人生の軌跡を描いている。数多くの点の集合が創りだす軌跡、それがただ1点で交わるなんて、そんなことは奇跡かもしれない。

でも自分はそんな将来を夢見ています。同じ夢を描いていた仲間たちが、それぞれの軌跡を描きつつ、また1点で交わる。偶然の再会が続く。鳥肌が立つ。夢が夢ではなくなる。奇跡はたぶん起こります。

いやあ、やはりこの「思い」どうもうまく収拾がつきませんでした・・・。

と、とんでもなく長くなってしまいましたが、こんな妄想を抱きつつ、明日からの新学期は心機一転で頑張りたいと思います☆

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